Lonely Lonely Lonely
「嘘つきか。まいったな。お互い様だと思うけどな」
「失礼ね。なんだかんだ言って、あなたがグミを気に入ったようだから、心配してるのよ。私は!」
「……なんでばれたんだ?」
「口ぶりで解かるわよー!新鮮なんでしょう?グミが」
「お前さー。さっきからグミグミって。ああ、めぐみ、だからグミか」
「気付くの遅っ!」
「可愛いなあ。グミグミって。俺もそう呼ぼうかな」
「駄目」
「えっなんで?」
「ごくごく親しい仲じゃなきゃ、ダメなの。グミって呼ぶのは、特別なのよ」
「随分な掟だなあ。まあ、いいや。親しくなればいいんだろ?」
「だから駄目だって。親しくなっちゃ」
「でも、彼女からのアプローチだぞ。メアド教えて下さいっていうのは」
それは、今回の作戦のためだよ!
この、うぬぼれ男!
「だから、メアドとケー番教えたさ。それは、お前に関係ないことだろ。勝手にやらせて頂くよ。彼女だって、子供じゃないんだ。お前に指示されるすじあいないだろ」
悔しいけど、もっともなことを言われてる気がして、何も言い返せなかった。
「わかった。そうね。好きにすれば」
作戦云々よりも、何かモヤモヤするのは……もしや未練?
嫌だ嫌だ。
しかし私は、冷静になって考えてみた。
剛は、今、美久とグミの両方から誘われた場合、どちらを優先させるのだろう。
ちょっと、楽しくなってきた。
結果は、三日後に出るのだ。
「じゃ、今日は、グミのこと、ありがとう。すごく助かった」
「いいえ、どういたしまして。またいつでもお気軽にどうぞ」
「困った時はお互い様。この借りは返す。でも、その先は、きっとないよ」
「そういうことを言うなよ!まあ、そんな瑠璃子が、俺は好きなんだけどな」
「…………サヨウナラ」
私は、外人のような発音でそう言い、勝手に電話を切った。
男に好きだと言われたのに、この不快感は、なんだ?
グミに、取られそうだから?
いや、違う。剛とは、もう終わっているんだ。
それなのに………。
私を想っていてほしいというワガママが、私にあるのか?
そんな馬鹿な、と自分自身を疑う。
でも、それしか考えられない。