Lonely Lonely Lonely
「ええ、まあ」
って言うけどね、アンタ。
今、このメンツで和やかにテーブル囲めると思う?
ボロが出たな。剛。腰を痛めたなんて、芝居だったんだ。
あっさり涼ちゃんに見抜かれるなんて、間抜け男の極みね。
情けないわ、ことごとく。
私は、もはやダメ息子を想う母のような気持ちになっていた。
やたらと、めぐみ、めぐみと、
グミに絡んでいるのも気になった。
二人が出会ったのは、ほんの三日前のはず。それなのに、もう、呼び捨て?
「グミ、どういうこと?」
こっそり、私は、グミに聞いた。
「ああ、るりちゃんには話してなかったけど、あの日、剛さんに髪を切ってもらった日ね。食事に誘われて。
いろいろ、お話して仲良くなったの」
「あんたよく、剛についていったね~。怖くなかったの?」
「うん、優しかったし、楽しかったから」
グミまで騙されてしまうなんて~!
と、嘆きそうになったが、
「るりちゃんの友達だから、良くしてくれてるんだと思ったの。だから、ありがたく甘えたの」
えっ。
「ああ、そうだったのね。そっかそっか」
グミって時々、びっくりするほどしっかりしてるんだよね。
いつだったか、美久とそんな話をしたことがある。
それにしても、絡まれたグミもまた、
「なあに?なあに~?」と、
若干艶っぽい声。
あ、そっか。剛のこと、タイプだって言ってたからな~。
でも、美久の目の前でその絡みって、どうよ?
もう、痛々しくて、美久の顔が見れないよ。
「るりちゃん、グラス空いてるね。何か飲む?」
涼ちゃんの声かけで、自分が、バーボンを飲み干していたことに気付く。
「じゃあ、また同じく、ロックで」
「はいよ」
席を立った涼ちゃんの隣にいた美久は、ハンカチで顔を覆っていた。
私は、急に嫌な予感がした。
〈今夜、大事な親友を、失くすかもしれない。)
「ひどい、こんなの、酷すぎる。みんな、何考えてんのか、わかんない!
私のためだって、涼は言った。
でも、違うと思う。
こんなの、いじめだよ。ねえ、瑠璃子。
あなたの思った通りで、今、楽しい?
嬉しい?どうなの?どうなのよ!!」