Lonely Lonely Lonely
「ねえ、るりちゃん、聞いてる?」
「うん、聞いてるよ」
「明日仕事だからって、タクシーで帰ったの。酔いもさめたみたいで、しっかりした足取りでね。みくちゃんは、きっと大丈夫だよ。落ち着いた頃、また三人で飲もう」
「うん、そうだね。ありがとう。グミ」
私は、気付いていなかった。
この時、グミのテンションが、
異常な程、上がっていたんだということに。
「どうしたどうした?メンズが帰っちまったからって、しけた顔してんのかー?
それは、俺達に失礼だぞ!」
涼ちゃんが、カウンターで仁王立ち。
「こんないい男揃いなのに、あんな双子ごときに帰られたぐらいで、いじけてんじゃねーよ」
おっと、涼ちゃん。
「誤解が2点。まず、藤川兄弟は、双子ではありません。それから、私達、いじけてないです!」
特に語尾を強めた。
「え、双子じゃなかったの?でもそっくりだったよな」
周囲のバーテン達が、頷いていた。
「年子の兄弟だって。なんかもう、今更どうでもいいことだけどね」
私は、話をするのが面倒くさくなっていた。
「でも、ホント似てたから、美久ちゃん、相当ショックだったみたい……」
「みるくは大丈夫だよ。きっと。
今までも、数々の修羅場を経験して、立ち直ってきた奴だから」
「そうかもしれないけど、若い頃と、今とでは、ダメージの大きさが違うと思います」
「ダメージ?……なるほど。それ、あるかもな。スタミナは年々衰えていくものだしな」
なにこれ、酷い、酷い、なんだかひどく
ネガティブな話だな~!
耐えられなくなって、口を挟んだ。
「ちょっと、私のグラス空いたんだけど、誰も気付いてくれないの~」
「ああごめん。るりちゃん、何にする?」
涼ちゃんが、そう聞いてくれたけど、
テーブル席のお客さまに呼ばれていた水野くんが、慌てて戻って来てくれた。
なので、彼にオーダーをした。
「失礼しました。瑠璃子さん。次は、どうしましょう?」
「カクテルも飽きてきたから、ワインかな」
「飲みますね~、瑠璃子さんは、……白、だったかな」
「そう。グラスでね」