Lonely Lonely Lonely


「瑠璃子さん、そろそろボトル、どうしますか?」

青木さんが、遠慮がちな表情で私と誠のところへ。

「えっもうなくなちゃうの?ああ、前回かなり飲んだからね~。いいわ、なくなり次第、同じものを、お願いします」


「はーい、いつものバーボンを、ご用意させて頂きます!」


「お願いします」


「こちらこそ、毎度です。また、来て下さいね」


やはり遠慮しているのか、そう言うとすぐに席を外してしまった。



「瑠璃子さん、俺が中学時代ひきこもりだったことを聞きましたか?」



そして、誠との話が再開。



「うん、それは聞いたよ」



「気付いてましたか?あの頃、俺、いたんですよ、あの家に。しかも、兄貴の隣の部屋に。二人が何をしているのかは、わかってましたよ。自分も思春期に入っていましたしね。俺は、兄貴が帰ってくる時間になると、窓越しに外を眺めていました。兄貴は、他の女子を連れてくることもありましたが
あなたの時が一番嬉しそうでした。顔が高揚していましたから。

俺も、嬉しかったんです。ドキドキしていました。
たぶん初恋、だったんだと思います。


ええええーと思うポイントがいくつか。
あの頃、隣の部屋にいたなんて、全然分からなかった。気配なかったし。それじゃあ、私の、あの声が聞かれていたということ?恥ずかしいじゃないか。
しかし、誠とは先日、ホテルに行った際、あの何倍も大きな声をあげたから、今更恥ずかしいと言うのもおかしいかもしれないが。
何も知らずにヤッてたってのはショックというか、なんというか。



雅樹先輩を恨むような思いが芽生えた。



「あれから、俺はずっと、あなたのことを想っていました。片想いをしていたんですよ。だから、あなたが、みくさんたちとここにいらっしゃった時は夢かと思いました。
何年も見ていなくても、すぐにわかりました。

あぁ、瑠璃子さんだっ!て。いつかきっと会えるって信じていたし。

だから、先日、あなたと……。あまり大きい声で言えないです。あの時、で、わかりますよね、俺は夢心地でした。
今日は、いよいよあなたが恋しくて、休憩時間になったら電話をしようと思っていました。そうしたら、あなたが来てくれた。こんな嬉しいことはないです!」


「ねぇ、誠くん、仕事が終わってから、ご一緒できる?」


自分から、彼を誘ってみた。



「ええ、もちろん、ただ、ここあがったら、すぐ
店に行かなきゃなんですよ。今日は兄貴が休みだから、売り上げのチェックと金庫を締めに。
ほんの10分程度で済みます。付き合っていただけますか?」


「マコティ、るりちゃん独占しすぎじゃない?」


横入りしてきたのは、涼ちゃんだ。


「どけよ、俺もるりちゃんと話したいんだ」


オーナーに睨まれては、立つ瀬がない。


という風に誠は席を外した。



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