Lonely Lonely Lonely


「なぁるりちゃん、なんで来てくれなかったんだよう。みるくに電話しても全然、なしのつぶてだしさ。あれっきり誰も来ないって、俺、やっぱひどいことしちまったのか……。と涙の夜が続いたよ。(笑)
でも、るりちゃん、少なくとも、君は、俺と同じ首謀者側だろ。君が来ない理由がどうしてもわからなかったよ。
グミちゃんの場合はね、


やはり、悪いことをしたという罪悪感と 、


ここに来ると思い出してしまう、


そんな理由かなぁと考えられるんだけどさ


るりちゃんが来ない理由がわからなかったんだよ、どう考えても」



私は、喉を絞るような涼 ちゃんのその声を、聞いていられなくなった。


そして、今、本人は無意識だろうけど、彼は私にかなり失礼なことを言った。

だからこう返した。




「涼ちゃんもういいよ、わかった。ごめんね。何も連絡しないで。


こしばらくこに来なかったのは、そうね、やっぱり、みるくやグミに会ったらどうしよう、とか。


合わせる顔がない、とか考えてしまったからかな。

私だってね。罪悪感あるのよ。


胸が痛むのは、グミだけじゃないんだよぉ。



それから、私はてっきり、あの二人はここに通ってると思ってたから


なかなか足が向かなかった、というのが正直な答えです。



決して、涼ちゃんが
嫌になったわけじゃないし


tearsが嫌になったわけでもない。


嫌なのは、こんな自分自身」




なぜか震えてきてしまった。


なぜだろう?



決して酔っ払ったわけじゃない。

「るりちゃん、自分を責めるのはやめろ悪かったのは俺だから。」

そう言って、涼ちゃんは厨房へ戻った。



私のグラスが空になったのを確認すると、すかさず誠がおかわりを作ってくれた。




私は、それをぐびぐびと飲んだ。いつもの飲み方 だ。


そして、
誠は、こう声をかけてきた。



「るりこさん、俺、今日は少し早めの上がりなので、もうそろそろなんですが、大丈夫ですか?」

時計はまもなく12時を指すところだった。

「うん、いいよ。もう十分飲めたし、涼ちゃんと話もできたから、じゃあ私もチェックをお願い。外で待ってるから」


「いいえ、中にいて下さい。外では寒いので。準備できたら声をかけますから」



それでは、店内の誠ファンに悪いと思ったのだが。



「あら、そう。

じゃあ、そうさせていただこうかな。あとどれくらい?」


「チャチャッと着替えるだけなんで、5分位ですよ」






爽やかな笑みを残して、誠は、奥の部屋へと消えて行った。


そして、約5分後に、やってきた。制服である白シャツから、チェックのシャツとジーンズに着替えた普段着姿は、なかなか一般の客人では目にすることができないのであろう。



だから、誠が現れた瞬間、一部から、ワアッという歓声が上がった。


そして、その誠は、真っ直ぐに私のもとにやってきて、
「お待たせしました。るりこさん、さあ行きましょう」


と、手を差し出してくれた。


はい、気持ちいい。





もちろん、ファン達は
ウサギのように耳を
立てていたので、誠のセリフをバッチリ聞いたようだった



すると今度は


先程の歓声がウソだったかのような悲鳴だ。


キャァァァ~、イヤァ~~!


なんだろう、みんないつのまに練習したの?と思えるほど揃ってて、楽しい楽しい。


改めて言うまでもないが、私はこんなシチュエーションが大好きだから、見せつけるようにふたり仲良く手を繋ぎ
、店を出た。


皆さん大人ですもの、解るわよね。
私達、これからデート、この時間からのデート、どこで何するか、なんて、当たり前過ぎて説明するのも面倒くさいわ。



想像にお任せします。
恐らく私達は、皆さんの想像以上に
楽しいことをしててよ。悪いわね、ホントに。でも、仕方ないでしょう、彼は私のことが大好きらしいから。

楽しいことは一人占めさせていただきます。ウフフ。


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