Lonely Lonely Lonely
「涼ちゃ〜ん、そんな簡単なもんじゃないよ。同僚にホテル入るとこ目撃されたの。ばらすぞって脅されたらしくて。嫁にばれるとヤバイからって、私が捨てられたわけ」


「……ってことはあんた、また不倫だったの?しかもその話だと、仕事仲間?」


「うん~。まあ、そんな感じ~」


「その人のこと好きだったの?瑠璃ちゃん、それで、ため息ついてるの?」


控え目に、グミはそう聞いた。


「愛はないよ。身体の相性が抜群に良かったの。ただそれだけ」


あの人と、もうできないのか〜と思うとため息が出るのよ。


瑠璃子は、そう続けた。


「ふーん、なんか、私達には理解しがたい大人の事情って感じだな」


私が言うと、グミはウン、ウンと頷いた。


「くだらない。そんな男とは別れて正解だよ。それより、その、同僚ってのが男だったなら、そいつで穴埋めすればいいじゃん」


涼が無茶苦茶なアドバイスをする。


「ダメ。タイプじゃない。でも言い寄ってくるんだよね。剛さんより、俺のほうがいいだろ、独身だし、なんの問題もないから、だって。アホだよ。知性も色気も金もない男が、何を言ってるんだか」


「瑠璃ちゃん、厳し〜い」


三人の声が揃った。


いつのまにか、涼が、空いていた席に座っている。


「ちょっと、あんた仕事、しなくていいの?」


「お客様とのコミュニケーションも立派な仕事。今日はバイトの子も多く入ってるから、呼び出しがない限り問題なし」


だからって、こんなに寛いで、自由な奴だ。
まぁ、こいつの店だから、いいのかな。


「ところでみるくはどうなの?」


みるく……というのは、小学校の時に涼がつけた、私のあだ名だ。


今でもそう呼ぶのは、こいつぐらいしかいない。


「私?私、実はちょっといいこと、あったかな?」


「へぇ〜〜〜。どんなどんな?」


グミと涼が目を輝かせる中で、


「今度はどんな男に騙されるんだか……」


瑠璃子は気怠そうにそう言った。


「瑠璃ちゃん!ちょっと、そういう言い方は……」


珍しく声を荒げたグミを、私は制した。


「いいよ。大丈夫。今度は大丈夫だから」


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