Lonely Lonely Lonely
しまった!まだ呂律が廻らない!
ふふっと、首筋に温かい吐息がかかった。
「まだ酔ってるね。水を飲む?」
うん、と頷くと、ベッド脇からペットボトル。
「ありがと」
水を一口、二口、飲んでいると、早く早くとばかりにペットボトルを奪われ、激しいキスとともに、押し倒された。
ああ、もうだめだ。
というより、もう自分も欲してきている。
拒否する理由がなくなった。
私達はお互いを受け入れて一夜を過ごした。
しかし、気になったことが、ひとつ。
翌朝、早くに私がシャワーを浴び、着替えもメイクも終えた頃、優樹は起き出した。
「美久さん、美久さん?……?えっもう朝?」
「朝だよ」
「帰るの?」
「帰るよ。仕事だから」
「そっかぁ」
まだ寝ぼけている彼に、私は尋ねた。
「優樹、マリって誰?」
「まり?なんで?」
「昨日、寝言で何度か」
「あーごめん。うちで飼ってるネコの名前だよ。心配で、つい出ちゃったのかな」
「ふーん。そっか」
私がそっけなくそうく言うと、優樹は起きて水を飲み出した。
「信じてくれないの?」
急に甘えるような声。
こんな時に若さを利用するなんて……ズルイ。
「信じるよ」
嘘をついた。
みっともない真似はしたくなかった。
私は、年上だから。
彼より、7つも。
「じゃあ、またね」
「はい、また」
起き上がった優樹の上半身の逞しさが、なんだか
生々しくて、
思わず触れたくなってしまったけれど
私はその部屋を後にした。
マリって誰……。
いったい誰なんだ……。