Lonely Lonely Lonely
その後……。
優樹からの連絡はばったりと途絶えた。
これには、さすがの私も
凹んだ。
あんなに、好きだと、一目惚れしたと、言ってくれたのに(瑠璃子いわく、そういう奴ほど危険人物だということだった)
美久さん、美久さん、と、何度も名前を囁いてくれたのに……。
時折、「マリ……」
と呟くのが気になったけれど……。
そう。
実は、寝言ではなく、彼は行為の最中に、
「マリ」
と言っていたのだ。
だから、ネコの名前じゃないことを、私はとっくに知っていた。
でも、認めたくなかった。
自分が、誰かの身代わりになってるなんて……。
私は、優樹に会いたくて会いたくて、何度もメールを送ったが、いっこうに返事は来ず。
電話にも出てもらえなかった。
そしてとうとう、
「オカケニナッタデンワバンゴウハゲンザイツカワレテオリマセン」
何度か聞いたことのある機械的な声。
私は優樹の声を失った。
いや、優樹を失った。
なんで?なんでなんで??
たった一度デートして、私のこと、嫌いになったの?
たった一度のセックスで、嫌になったの?
そんなに私、ダメだったの?7歳も上なのが嫌だった?
マリって誰なの?
彼女?奥さん?ねぇ誰なの?
もう、わからないんだ……。
もう、ほんとに、
悔しいけど
瑠璃子の言う通りになってしまった。
「うえっぅぇっぇっ」
私の泣き声に気付いた裕太が、缶ビールとナッツを小さなお盆に持ってきてくれた。
「終わったな。ひと夏の恋。早過ぎだぞ」
そんな余計なひとことがなきゃ、良い弟なのだが。
言わずにいられないらしい。