Lonely Lonely Lonely


そしてその次はいつ会うかの話になった時



「前にも言ったんだけどさぁ」



「ん?なんだっけ?」



素で、私は尋ねた。



「部屋を……片付けてくれないかな」



「ああ、そっかそっかぁ。忘れてたぁ。うん。いいよ〜」


彼はひとり暮らしで出張が多く、なかなか部屋の掃除が出来なくて困っている、と言っていた。



「じゃあ私、片付けてあげるよ」



と、以前話していたのだ。


いよいよか、と私は思った。



やっと、部屋に招き入れてくれるんだわと。



その当日を迎えた私は、一泊分の下着や着替え、コスメ類を、いつもより少し大きめのバッグに詰め込んで、彼との待ち合わせ場所に向かった。



だって、綺麗になったお部屋にそのままお泊りも有り得るよね……みたいな。



私は覚悟を決めた。



ランチをしたあと、まず連れて来られたのは、ホームセンター。



えっ?



「なんもないから、掃除道具。掃除機ぐらいしか。必要なもの、あれば買って」



顔色ひとつ変えずに、言うんだ、そういうこと……。


私は、ほんの少しだけ、恐ろしくなってきた。



このひと、ほんとに掃除してないんだわ……。いったい、どんな部屋なのだろう……。



洗剤やスポンジ類を買い込み、



「うん、それだけあれば大丈夫だと思う。あ、あとこれもかな」



彼が手にしたのは



カビ取り剤……。



「ほんと申し訳ないけど、スゴイから、ユニットバス。覚悟しといて」



そっちの覚悟はしてなかった〜!!



私は、甘かった。



彼の住むマンションは、ワンルームで、家賃は会社負担というから、住民のほとんどが社内の独身者らしい。



エレベーターで5階へ上がり、503のドアを開けると…………。



ドキドキドキドキ。



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