Lonely Lonely Lonely
「いつの間にか住み着いちゃったんだよね。まいったよ」



笑ってんじゃねーよ。



これも私になんとかしろと!?



冗談じゃない、大家に頼めや!!



「あのタマゴって、食えるのかな」



無理。このヒト無理。あたし無理。



頭の中で、そればかりが
駆け巡りはじめた。



そしてついに、倒れそうになり、彼は窓を閉めた。



「ああ、ごめん。ちょっと強烈すぎたかな。でもまだ、あとひとつ、ご案内しないと」



まだ?まだ何がある?



怖い怖い怖い。



もう吐きそうだ。



「ここ。大変だと思うけど」



と、彼がまたもやゴミ袋トンネルをくぐりながら案内してくれたのは、ユニットバスだ。



ハイ、予想通りのカビだらけ!生乾きのタオルにカビ!山積みになった週刊のマンガ本にまでもカビ!とにかくカビカビカビ!



私は、とても中に入ることができなかった。



「これ……ここだけで一日かかるね」



「そうか〜?悪いね」



それでもやらせる気?



ダメだ。もうダメだ。



収入とか安定とか以前の問題だ。



私、この人と一緒になるのは無理だ。



「ごめんなさい。無理です」



「ええっ?」



「この部屋の掃除は、プロの方にお願いしてください。



それじゃ、ごめんなさい。さようなら」



永遠に。



私は、ゴミ部屋から逃げ出した。



「ええっ、待てよ、約束が違う……。待てって……!!」



と言いつつ、追ってこない彼……。



ああ……。私、掃除婦にさせられるところだったんだわ。



また、悔し涙を流した。



恋愛って、悔しい思いをするためにあるのかな?



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