Lonely Lonely Lonely
「だって……鼻息が荒いんだもん。気になって見てみたら、うっとり目で、ほっぺがピンク。かわいいよね〜」


ケラケラ笑う美久ちゃんに少々腹が立ちましたが、
恥ずかしさに、俯くしかありませんでした。



「大丈夫だよ。あんただけじゃないから」



事実、そのあとの休み時間は、教室中が星野先生のことでもちきりになっていました。



なにしろ男子も騒ぐほどの男前なんだもの。



ちょっとした騒ぎになっている教室の片隅の席で、


瑠璃ちゃんはひとり、
脚を組みながら外を眺めていました。



大人っぽい子だなぁ〜と
私はその画にうっとりしました。なぜだか、胸のドキドキが更に高まった気がしました。



その日(入学三日目)から、私と美久ちゃんの距離は一気に縮まったのです。


体育館や音楽室に移動するときに、美久ちゃんは



「橋本さん、一緒に行こう」



と声をかけてくれました。



美久ちゃんと一緒に行きたがる子は、他にもいたのに。



「私、軍団で行動するの嫌なの。ほら、ああいうの、絶対いや〜」



と、大沢さん率いる6人組の集団行列を見ながら
美久ちゃんは顔をしかめた。



「かといって、ひとりぼっちも嫌なの」



今度はひとり颯爽と音楽室へ向かう瑠璃ちゃんを差しながら。



でもあの人は、ひとり『ぼっち』という感じじゃないけどなぁ。



「だから、橋本さんと二人がちょうどいいの



「……そうなんだ。私も、それがいいや」



「そうだ、私たち、呼び方変えない?」



「へっ?」



廊下を歩きながら、私は天井を突き抜けるような、おかしな声を出してしまいした。



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