Lonely Lonely Lonely
なので、天気が良い日は、生徒に混ざりながらランニングをしたり、



グラウンドに入って指導をしたりしています。そんな姿がまた、素敵なんです……。


でも監督は、別な、ベテランの先生です。



長くサッカー部の顧問をしているおじさん先生なので仕方ないですが



部員たちは完全に星野先生を信頼しきっている様子でした。



詳しいことは分かりませんが、かつて全国大会で活躍をした選手なのだとか。



雨が降ると、野球部と交代制で体育館を借りているので、



今日は野球部が借りたようだ、という情報をみくちゃんが逐一得たのです。



そうなると室内練習ができないサッカー部の練習は休みになります。



そんな時、実験室に星野先生が必ずいるとは限りません。



でも、いる可能性は高いのです。私達はそれまでに二度目撃していました。



一回目は、ノートパソコンに向かっている後ろ姿。先生はひとりで、集中しているようでした。



私達はそれを30分位廊下から眺めただけで、帰りました。



「気付かないんかね、あの人」



階段を軽やかに降りる美久ちゃんは、微笑みながらそう言いました。



「きっと集中してるから振り向きもしないんだよ」



私が、その広い背中に見とれている間、美久ちゃんは周囲をパトロールしてくれていました。



「グミが変態扱いされないようにね」



って……。親切な子だなって思いました。



親切って……変かな。彼女は、ペロペロキャンディー嘗めながら面白がっていたようですし。



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