Lonely Lonely Lonely
二回目は、男子生徒の相談にのっているようだったので、すぐに退散しました。



が、のぞき見していた姿を見られた気がしたので、



「ヤバイね。顔バレたかな」



私は不安でしたが



「大丈夫じゃ〜ん?追ってこないし〜。怪しいと思ったら、出てくるはずでしょ」



美久ちゃんの、このあっけらかんとしているところには、だいぶ救われてきました。



「そう……かなぁ……。そう、だよね」



そう、思えるのです。



そして三度目の覗き見の日のことでした。



外は大雨。そんな日の実験室を覗くと…………。



窓側に立って口づけを交わすふたりの姿。



ヒィーッ!!



声にならない声が出て、
私と美久ちゃんは顔を見合わせた。



「ちょっと、キスしてるよ〜」



「みくちゃん、声、声!」



普通に話し出したみくちゃんに、私は無声音で注意したが



「ヘーキでしょ。この雨音じゃ」



そっか。外は大雨。ザァ ーッ、ザァ−ッ、だ。



でも、そんな、直立不動で見てちゃ危険……。



「ヤベ。女のほうに気付かれた。つか、あれって……」



私は、下駄箱までみくちゃんをズルズル引きずりました。



火事場の馬鹿力って本当にあるんですね。



「見た?あれ、うちのクラスの子だったね」



「えっ?」



帰り道、雨音でみくちゃんの声は聞きにくかった……。



いや、違います。



私は、本当はそのことを認めたくなかっただけなのです。


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