Lonely Lonely Lonely
不器用な私達のお付き合いが始まったのは、大学2年生の時から。
読書や映画、DVDの観賞を趣味とする私と違って、樹は、海や山に出かけることを好みました。釣りや、散策が好きなので、何度か一緒に出かけましたが、
彼の一番の目的は、バイクだったのです。
高速道路を飛ばして、途中サービスエリアで食事をして、少しのんびりします。
「あ~、しあわせ」
と呟く姿は、至福そのものでした。
「めぐみも、気持ちいいだろ?高速ぶっ飛ばしてさ、キレイな紅葉見てさ、うまいもん食って、幸せだよなあ、俺ら。日本人で良かった~みたいな(笑)」
「私は……」
「そうだ!次は温泉にでも行くか?俺バイト頑張るから、これからだと……星が綺麗なところがいいな。探すよ!」
「樹、聞いて。私は、怖かったよ。普段から飛ばしがちなのに、高速ではどうなることやらと思ってたけど、
案の定ね。
飛ばしすぎ!!私、怖くて仕方なかったよ」
樹は目を見開いて、驚いていました。
まるで、「そんなこと言われたの初めてだ」という顔でした。
私はその時、もう何度も女の子を乗せているのだな、ということを悟りました。
今まではきっと
すっご~い超楽しい。超気持ちいい!
また連れてって~。
そう言われていたに違いないと確信しました。
「ああ……ごめんごめん。しっかりしがみついてくれてたし、大丈夫かなと思ってつい……。気を付けるよ。これからは」
「そんなこと言ってさ、ひとりのときは、もっと飛ばしてるんでしょう?危ないよ。ホントに。樹にもしものことがあったら、私……」