Lonely Lonely Lonely

私は、なかなか立ち直ることができませんでした。



病院へ行くと、うつ病と診断され、薬を処方されました。



自宅に引きこもり、やがて仕事にも行かないようになってしまいました。



最後の最期に、伝えてきたのに。
私は子供が大好きだって。
仕事が好きだって。



今の私の姿を見て、樹はなんて言うだろう。


悲しむのではないかと、思ったけれど、それでも私は、
生きて行く力を取り戻すことができませんでした。



とうとう仕事を辞めた私を、両親は責めませんでした。



今は、ゆっくり休めばいい、と、



申し訳ない想いに押しつぶされそうになっていた私を、救ってくれたのは、



るりちゃんでした。



ある日、母から



「ランチへいこう」



と誘われて、嫌々ながら外出をした時のこと。



交友関係の広い母は、
「あの、最近出来たお店、美味しいらしいから。
イタリアンだよ。めぐみも好きでしょ?」


好きだけど、食欲ないよ……。



そう言うこともできず、引きずり出されてました。


ああ、久しぶりに浴びる日光。



紫外線………。



季節は冬だったけど、
私にはすべてが真夏の太陽のように眩しく、熱く感じました。


目を細めながら歩いている私に、



「あれっ、もしかして、グミじゃない?」



そう声をかけてきたのが、るりちゃんだったのです。



「るりちゃん……!!あれっ、M県にいるって聞いたけど……」



「うん、飽きたから最近帰ってきて、開業したの。この近くだから、グミも来て来て!あっ、お母様も」



はいどうぞと、パンフレットを2部くれた。



かたやうつ病、かたや美容室のオーナーか。


なんだかせつない&情けない度Max~。



「あらっ、ここ新しくてきれいだし、腕もいいって評判だよ。私みたいなおばちゃんが行っても邪険にされないって……」



母、またしても情報通です。
この情報は、るりちゃんも嬉しかったらしく、



「もちろんですわ。同じ女ですもの~邪険だなんて、とんでもない」


























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