Lonely Lonely Lonely
私は、樹に報告をしました。
フォトスタンドに向かって。
樹、私今日ね、久しぶりに笑ったよ。
美容院では、声をあげて笑ったし、お母さんとも、たくさん笑ったの。
見ててくれたかな。
うちのお母さん、泣いて喜んでたのよ、
大袈裟でしょう?
…………(大袈裟じゃないよ。)
えっ。樹の声?気のせい?
…………(めぐみのお母さんは、とっても安心したんだ。また、めぐみが笑えるようになって。
お母さんが、どれだけお前の事心配していたか、わかるか?
俺は、申し訳なかったと思っている。
めぐみは親孝行してくれ。俺ができなかった分まで……。)
「樹?樹、どこにいるの。近くにいるんでしょう?見えない。見えないよ、全然見えない~!いつき~~!」
私は泣きながら部屋中の隅々に声をかけました。
樹の声が
聞こえる。
でも、姿は
見えない。
もしかしたら、幻聴だったのかもしれません。それでも、私は、良かったんです。
樹は言ってくれました。
(いつもそばにいるよ。安心して。だからもう、泣かないで)
樹………、樹を亡くしてから、私は毎日思ってた。私も死にたい。樹のそばに行きたい。早く行きたいって、そればかり……。
でも、それは間違ってたということに、今日気付いたよ。
私にも、心配してくれる友人がいたし、何よりも母。
震えるように笑っていた母の姿を見て、
ああ、年をとったなあ。と、私は思いました。
そんな喜び方をするなんて。
おばあちゃんにそっくりじゃない!!
そんな母をおいて先には死ねない。
樹じゃあるまいし、
そんな親不孝、できません。
………(そうだ、その通りだ。
これからは、親も友達も、大事にするんだぞ。めぐみは、ひとりボッチじゃないんだから、な)
わかってる。
わかってるよ。
でもね。
樹が足りない。
ダメだよ、私、やっぱり、
あなたが私の心に残した大きな穴は、どうしても埋められない。
埋められないよ~~!!