Lonely Lonely Lonely
この店は、フロアー違いで働いていたため、社員に顔がわれているけれど、



他の店舗には、私服姿の私に気づく人間
などなかなかいない。
それだけ、私は地味ということだ。



そんな私の特徴を逆手にとった上層部が、私を覆面調査員に任命した。




客のふりをして、いろんな店舗に忍び込む。そして、評価後に、店長に報告をする、というパターンは、社長の案だった。



私は、一応、「接客大賞」で、社内ブログに写真が掲載された身ではあるが、全国各地、どこの店舗の誰にも気付かれなかった。



少し淋しい気もするが、




ある意味、これも才能であろう。



出張が多いし、疲れそうだし、最初は嫌だったが、やってみるとこれがなかなか楽しくて。



「キレイっすよね~。沢田様。マネージャーの同級生とはなあ~」


奥村、まだいたのか。感慨深げに呟いているけれど、
それはどういう意味かな?



「ところで、マネージャーは、おいくつで?」



「そんなことを、女性に聞くな!私のことなら勝手に調べなさい。同じ会社の人間なんだから、いくらでも手段があるでしょう?」



「すみませ~ん」



奥村は、謝りながら逃げて行った。



「まったくもう、若者は、礼儀も、言葉の使い方も、知らないんだから~」



私は、別室でチェック項目にチェックを入れ、店長に報告をして、その日の仕事を終えた。


帰宅してすぐに、瑠璃子へメールをした。



私達の再会の日は、2週間後に決まった。






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