Lonely Lonely Lonely
「みくちゃん、ちょっと、言い過ぎだよ……」
ヒートアップした私を、グミが抑えてくれた。
そんな私達の側で、瑠璃子は、
アッハッハと笑いだした。
「おもちゃとはねえ。言ってくれるねえ!私達のことをな~んにも知らないくせにねえ。よくそんな口を利けたもんだわ」
いつもの瑠璃子に戻った。
「もう、やめてよ、二人とも!せっかく、久しぶりに会えたのに」
グミが半泣きになった。
この中で、一番大変な思いをしたのは、
間違いなくグミなのに。
「ごめん、グミ。おとなげ、なかった」
私はすぐに、謝った。
そして、
「不倫、なんだね。瑠璃子……」
そう言うと、瑠璃子は、既に開き直った顔で、
「どうなのかな。最近、何が不倫ていうものなのか、よくわかんないの。ねえ、不倫の定義って、なに?」
定義?
なんじゃそりゃ、と思いつつ、何か言わねば、と思い、
「そりゃあ、既婚者と、お付きあいをするってことでしょ?」
「そうなんだ。私、昔と何も変わらないお付き合いしてるんだよ。それが、彼が結婚した途端に不倫?」
「そうだよ!一般的にそういうものでしょ」
いいぞ、いいぞ。私、まともなことを言ってる。
密かに自画自賛していたところに、
爆弾を落とすのが、瑠璃子だ。
「い、一般的?つまんないわね。私の嫌いな言葉だわ。一般的とか、普通とか、世間体とかね、いかにもあんたが好きそうな言葉!寒気がするわ」
半笑い。
ケンカを売られた気がした。
「ああそうだよ。私はあんたと違って、ごくごくふつうの、一般人だよ!少なくとも、あんたより、常識のある、ね」
「もう~!!やめてって言ってるの。どっちもどっちだよ、解決策は、ありません!はい、おしまい!」
またしても、私達はグミの一言で終戦。
「あたし達、全然変わらないね」
もはやあきれ顔で、瑠璃子はワインをオーダーしていた。