Lonely Lonely Lonely
「ちょっと私、お手洗い」
グミが立ち上がり、トイレに向かうと、
ふうっと大きな息が出た。
そして、
「困ったね」
という言葉が重なった時、私達は、クスッと笑った。
「一番しんどいのは、グミなのにね。あの子、平気そうにしてるけどさ、まだまだ立ち直ってないのよ。
あれでも、だいぶ明るくなってきたほうだけどね」
「そうなの?」
私は、手もとのワインをクピッと飲み干した。ほろ酔い。
いい感じ。
「最初はね、真っ黒いオーラ背負ってて、メチャメチャ気の毒だった。
だいぶ長い間、引きこもっていたみたいで。
私が美容師で良かったよ~。ボサボサの長い髪、バッサリ切ったのは私なの」
そうだったのか。
今、グミは春らしいショートボブがとてもよく似合っている。
「頭が軽くなれば気分も変わるかと思って。それに、流行りのスタイルだし、可愛いでしょ?
真っ黒い服着てたから、これからはなるべく明るい色を着るように言って、バランスいいようにカラーリングもしたから、なかなかイケてるでしょう?」
「イケてる、イケてる!そうか、それで脱・引きこもりできたんだね」
「まあ、第一歩、って感じだね。グミが普通に恋愛する気になるまでには、まだまだ時間がかかるだろうね」
「だよね。今のグミになんて声をかけていいか、わっかんないんだよね」
大好きだった彼を亡くしたグミの気持ち。
思いやっていることを、どう表現すればいいのかな。
『
「私達は、ただ、側にいればいいんゃないかと思うのよ」
瑠璃子の言葉が、鬱々としていた私の頭を一掃する。
「ああいう時は、きっと、言葉なんていらないんじゃないかな?私達にできるのは、側にいて、温もりを与えること。せめて、ひとりぼっちじゃないよってこと、わからせてあげるのよ」