Lonely Lonely Lonely
その店は、繁華街のビルの地下にあった。
薄暗い階段を降りていくと、
「Bar tears」のドアが見えた。
「なかなか、センス良さそうね」
瑠璃子がその白いドアを押し、先頭をきって入店。
いらっしゃいませ~。と、二人の店員が、出迎えてくれた。
瑠璃子達は、私に向かって「どっち?」という顔をしていたが、私は小さく首を振った。
違う。涼じゃない。
私達は、開店のお祝いがてら、シャンパンを入れることにした。
来客は、私達のほかには若い女子とカップルの二組だけだ。
「あの、マスターは、いらっしゃいますか?」
お通しを持ってきてくれた店員1号に尋ねてみた。
「はい。おりますが、只今、お色直し中でして------」
「お色直し?」
アイツは花嫁か?
「お色直し?なにやってんの!?」
「いや、ハハハ。出て来てからのお楽しみということで。間もなくだと思いますから、ハハッ」
店員1号は、にこやかにその場を去り、
カウンターの客へのカクテルを作り始めた。
「かっこいいねえ」
そのバーテンの姿に、グミが呟いた。
「へえ、グミってああいうのがタイプ?やめておきな。あれは、必要以上に遊んでるタイプよ」
瑠璃子の解説を、素直に聞き入れちゃうグミ。
ウンウン、そうだね。バーテンさんだから、出会いも多いだろうしね、って。
おまえ、それでいいんかー!
という言葉は、飲み込んで良かった。
「鑑賞用だよ、鑑賞。私は、イケメンって緊張するから、あまり得意じゃない」
なるほど。納得。
「お待たせしました、こちらサービスのポテトフライでございます」
聞き覚えのある声だった。でも、振り返ると、あら、綺麗な女性------。
え、え、えっ。
あれっ。
瑠璃子とグミは、全然気付いていない。
そりゃそうか。
初対面だもんな。
「ボトルが空いたようですので、こちらは私どもからサービスさせていただきたいのですが、よろしいですか?」
「えっ赤ワイン!いいんですか~?」