Lonely Lonely Lonely
「あっ、彼氏かな?」


「ち…違います。弟なんです。昼間からお酒飲んでるんです。しょーもないでしょう?

それで、迎えに行かなきゃいけなくて……」



うわ、私ったら、何言っちゃってんの〜〜!!



こんな私に、



「わかりました。今日はお忙しいようだから……。もし、よかったら、連絡をください」



と、彼は柔らかく微笑みながら、
名刺をくれたのだ−!



「ああ、どうも」



私は、それを受け取ると、また走り出した。



地面に打ち付けた腰が少し痛んだが、
名誉の負傷だ、と自分に言い聞かせた。



その後、裕太にさんざん文句を言われたが、
どこ吹く風。



私は終始穏やかな顔で、
その文句を聞いていたので、



「なんか姉ちゃん、気持ちわりぃ」



そう言われたが、怒鳴る気にもならなかった。



そう、私は



完全に、
一目惚れしていた。



その名刺には携帯の番号とメアドが手書きされていたので、



その日のうちに、お詫びのメールを入れた。



鉄は熱いうちに打つ。
私の信条だ。



「はじめまして。中山美久と申します。今日、本屋で衝突した女です。



本当に、申し訳ございませんでした。



気が動転して、ろくに謝りもせずに帰ってきたことを、
大変失礼だったと後悔しています。


痛かったでしょう?


頭にきたでしょう?


それなのに、お茶に誘ってくださるなんて、嬉しかったです。


名刺までいただいて……。
早速メールしてしまいました。
謝りたかったから……」



よし、これでいいだろう。そう〜〜しん!!



時刻はPM8:00



返信が、来ない。なかなか、来ない。夜勤なのかしら?ああ、お医者さまは当直っていうのかな……?



そう、彼は
医師だったのだ。







< 8 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop