Lonely Lonely Lonely

数時間が経ち、私達も帰ろうかと、支払いを済ませると、涼が、見送りに来てくれた。



「ハガキ、見てくれたんだよな。割り引きしといた」




「あっごめん!あれ、忘れて来ちゃって……」




ハガキご持参の方はお会計20%オフだったんだ。




「いいよ、出した客は、把握してるから」



「ありがとう。涼さん」



丁寧に頭を下げるグミに、



「どういたしまして。グミちゃん。また来てね。待ってます」



涼は優しく声をかける。そしてグミは、コクリと頷く。



そして瑠璃子は、



「目が飛び出すほど安くて、ビックリしたわ!」



「瑠璃子さん……もともと大きい瞳でいらっしゃるのに……(笑)。安くしているのは今週だけですが、どうぞ末長い、お付き合いを……」



「やだあ、そんな営業トーク。私、この店宣伝しまくってあげるから、こちらこそ、良いお付き合いをお願いします」



そう言いながら、瑠璃子は名刺を差し出した。すると、涼も、速やかに。



名刺交換を終えて、私達は、店を後にした。



元気よく、「また来ま~す」の言葉を残して。



「すごいね、あのお店、オープンしたばかりなのに、あんなにお客さま」



グミが目を丸くしていた。





「だって、まだ11時よ。夜はこれからじゃない~ああいう店は、これから混むんだよ」



瑠璃子が言うことは、もっともだと思った。



「だから、私達は、今日ぐらい早いうちに行くのが正解ね。涼ちゃんと、喋れるから」



涼ちゃん!?



涼ちゃんか…………。ま、いっか。
私が、どうこう言う問題じゃない。



お好きにどうぞだ。



きっと涼は、
「なれなれしい女だ」
なんて言わない。



むしろ喜ぶと思う。



自分だって初対面から
「グミちゃん」だもんね。



ま、昔っから人なつっ
こい奴だったからな~。


ふ~、と、大きなため息が出てしまった。










< 81 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop