Lonely Lonely Lonely
5・男スタイル、女スタイル
そして、二週間後、私達はまた飲み会。
それまでは、不定期的にたいてい月イチペースだったが、
次は、二週間後ね!という、この早さ。
二人は、相当、あの店を、そして涼を、気に入ったらしい。
私達はまた、軽めの一次会を、とっとと済ませて、二次会へ。
入店時間は、8時50分。
この店は7時オープンだがまだ客は入っていなかった。
「いらっしゃいませー」
と、手持ちぶさた気味なバーテン達が、出迎えてくれた。
たった一度来ただけなのにもう、マスターの友人と認識しているようで、
「いつもありがとうございます」
と、丁寧な挨拶をされて、
いやいや、いつもだなんて。まだ2回目だし、と内心照れていると、
「瑠璃子さん」
見覚えのないバーテンにそう言われて、
私はギョッとした。
私じゃなかったのか!恥ずかしいじゃないか!なんだか顔が火照ってしまった。
つーかなんでこの人、瑠璃子の名前、知ってるの?
そして瑠璃子は、柔らかく微笑みながら、そのバーテンにコートを預けていた。
ふーん、そうか。そうか。
「来てたんだ、瑠璃子、ここに」
「うん、遅い時間に一人で来たり、仕事上がりに同僚と来たりね」
てことは、少なくとも2回か……。
「いいねっ金持ちは」
「別に。仕事で疲れて夕飯作るのめんどくさい時とか、ここ、ご飯も美味しいから、みんな大喜びよ」
「ありがとうございます」
おっと、まだいたのか。
「それに、やっぱりこういうお店は、遅い時間の方が楽しい。ね、水野くん」
「はい。ありがとうございます」
お前は、それしか言えんのか!?
「はーい、みんないらっしゃい。お通しだよ~」
そこへ涼がやって来た。
今日は、男スタイルだ。
私は、違和感なく受けいれることができたが、
グミは、目を丸くしていた。
やはり、この衝撃は大きいか。
「すごい、美女だと思ってたけど、けっこうそのままなんだね。ビックリした!かなりメイクしてるのかと思ってたんだけど」
「そう。そうでもないの。お肌ツルツルだし、ファンデは苦手で必要最小限。少しチークを入れて、アイメイクは、しっかりめ。まあ、僕のメイクに関して言えるのはそんなとこ。グミちゃん、元気にしてた?」
それ、女が言ってたら、そうとうイヤミだから。