Lonely Lonely Lonely

「どう?グミ、すっぴんの涼ちゃんは」



瑠璃子は、まるで友達を紹介するかのような口調で、そう言う。


私の友達なんだけどなあ。



「うん、かなり、かっこ良くて、びっくり」



グミはイケメンに弱いようだ。
接するのは苦手でも、観賞はしたいんだな。



「でも、私は、女装してる涼さんのほうがいいかな。やっぱり、なんか今日は、緊張しちゃったよ」



「そうなんだ……。じゃあ、これからは涼ちゃんが男スタイルの日と女
の日、交互に来るようにしようか」



「それ、いいかもしれないけど、分かるの?」



グミが身を乗り出している。



「うん。今後は、月・水・金が男、火・木・土は女スタイルで、カウンターに立つ!って公言してたから」



「どちらも、素敵だもんね~」



グミの目が、ハート、というより、キラキラ光った星のようだ。



友人としては、グミよお前そんなに女装が好きなのか、と呆れてしまうけれどね。



確かに、アイツの女装は完璧だから、
女子会みたいになって落ち着くのかもしれない。


「ところで、瑠璃子。私達の話を、どれくらいしたわけ?」



「え?だから、ほとんどあんたの話だけど。私が聞いたこと隅から隅まで全部」



あっけらかんと、言うこの女。


「信じられない。私は、あんたとグミだから、話したんだよ。そんなに口が軽かったなんて……!」



なんだか泣きそうになった。



「だって、すごいウケたんだもん。みんなに、クスッ」



「みんな?って」



「ああ、その日はカウンターで飲んでたから両隣のお客さまと、カウンターには涼ちゃんと、バーテンの子がもうひとり、かな?」



「そ、そんなに?本気で、あたし、もうあんたのこと信じらんないから!」




「そんなに目くじら立てないでよ。涼ちゃん以外は、みくのことなんて、だ~れも分かっちゃいないんだから」




「分かるでしょ、少なくとも」



バーテンには!



私の鼻息が荒くなったところで、




「もう、やめてよ~。二人とも。なんでいつもこうなっちゃうの?
だけど今回は、るりちゃんが悪いと思う」




< 85 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop