Lonely Lonely Lonely
「そんなこと言ったら、瑠璃子はきっとこう言うよ。あら、男だったらなんて、失礼ね。私、今、女のままでも十分モテてますが?」
声色や言葉尻を、瑠璃子風にして、私は言った。
「すげー、言いそう、それ!」
「に……似てる~」
意外とウケた。
涼、グミに続いて、
水野くんは、こう言った。
「でも瑠璃子さんは、ほんと、かっこいいっすよ。自分この前、瑠璃子さんに聞いたんです。
彼氏、いるんですか?って。
そしたら、いないと。
そんなのいたら、男が作れなくなってしまうからって。
いや~、痺れた~。なんて男前なんだ!?と。
俺も、そんなこと言ってみたいもんだなと。
でも、彼氏でも恋人でもなく、大事な人が、瑠璃子さんには、やっぱりいたんですね。
なあんか、かっこいいなあ」
うっとりしている水野くんに、声をかけたのは、グミ。
「憧れないでください,るりちゃんに。私は、間違っていると思うし、
ああ見えて、彼女は悩みも多いんですよ。
だから、お酒を飲むことが多くなっていって……。なんとかしてあげたいけど、なかなか……。るりちゃん、いち……」
一途だから、って言おうとしてる!
私は、慌ててそれを制した。
かっこいい瑠璃子のイメージが、崩れる、と思ったから,
「三度の飯より酒好きの瑠璃子が飛んでいくなんて、よっぽどの金持ちだよ、きっと」
冗談ぽく言ったつもりだったのに、
「みるく、お前、ひどいな」
え?なに?その、ケダモノを見るような目付きは。
「友達をそんな風に言うなんて、最低だぞ。グミちゃんは、こんなに心配してんのになあ、情けないと思わないのか?お前は!」
グミに視線を移すと、携帯を片手に、オロオロと落ち着かない様子だった。
「グミ……?どうしたの?」
「るりちゃんから、待ち合わせの場所に先生が来ないって……メールが……。
どうしたんだろう……先生……呼び出しておいて、遅れるような人じゃないのにって……まさか……」
グミが言わんとしていることが、私には、手に取るようにわかった。
(奥さんにバレて、奥さんからのいたずらメールではないか?)