Lonely Lonely Lonely
「M総合病院 神経内科 医師 藤川 翔
(ShoFujikawa)」
この私が、こんな私が、
この歳になって
医者と出会えるなんて、
良かった〜!
待ってて良かった〜!!
本気で、そう思った。
しかし、その日、メールはとうとう返ってこなかった。
私は少々落ち込んだが、
「きっと仕事してるんだ!」
と思い直した。
何ひとつ悩むこともなく
眠りに入った。
彼からのメールが届いたのは、翌日の午後だった。
「昨日のメール、深夜に気付きました。
ごめんね。あれから呼び出しがあって職場へ出向いたんだ。
遠方なので病院に一泊してきた。毎日新幹線通勤なので大変です。
今日はたまたま休みだったので良かった。
今朝帰宅して少し休んだところです」
M総合病院は、隣の県の病院だ。
そっかぁ、新幹線通勤のお医者さまなんだぁ、と、
そのメールを眺めてしばらくウットリしていた。
「今日のお詫びを兼ねて近いうちに食事でも」
とメールが来て、
その後彼とは二度、食事をした。
「医者?医者ですって!?本屋に医者なんかねぇ!」
私に食ってかかってきそうな勢いになっている瑠璃子を
グミが制した。
「落ち着いて!るりちゃん!よく考えて、有り得るよ。
本屋に、お医者さんが行くことは、有り得ることだと思うよ!!」
グミは意外にもこんな時冷静で、なにげに頼りになるのだ。
一命をとりとめた私は、ほっと胸を撫で下ろしたが、瑠璃子の息は、まだ荒かった。
……わかってる。