Lonely Lonely Lonely
私の意見に、青木隆一は苦笑い。
「そうなんですが……。長谷川社長は、涼ママのファンなんですよ」
「そうなんだ~、で、着替えに行ったわけですね」
そう言うグミの頬が、ほんのり赤く染まってきた。そろそろ私達もおいとまの時間か。
「あっという間に、美女に変身してきますから、ご覧になってて下さい。サラダ、すぐにお持ちしますね~」
瑠璃子目当てであろう、水野と野崎は、ぱったり、私達のテーブルに近づかなくなった。
わかりやすい奴らだ。
数分後、サラダを持って来てくれたのは、野崎だった。
「ごめんね~。瑠璃子が帰っちゃって、ガッカリだよね」
そんな風に声をかけると
「えっ?いえ、そんなこと、全然!」
と、焦って否定する辺りが、
(カワイイねぇ)
と、グミと微笑み合った。
まだ二十代と思われる彼。
(ウブイね、ウブイね。グミ、あれくらい年下って、どう?」
「どうって……。前に言ったでしょう?私、年下以前に、イケメンは苦手だって」
「そっか~。じゃあ、イケメンじゃない年下で、気があった場合」
「それは、そうなってみないとわかんないよ。みくちゃんだって、そうでしょ?」
「いや~、私は、年下は、あり得ないね、一度痛い目みてるから。カワイイからって、可愛いがると、バカを見るからね」
「……みくちゃん、全てがそうとは思わないけど……だから決めつけルのは、良くない……」
「うん、でも、心がけは大事でしょう。あ、涼、出てきたよ!」
あれからどれくらい?20分程度か。
涼はすっかり美人ママに様変わりして、長谷川建設の社長に挨拶をしていた。
「すごいな~」
「うん、すごいねぇ」
この時、私は、自分とグミの(すごい)の意味が、違っていることを感じていた。
グミは、ただただ、あの短い時間で美しく変身してきた涼に感心していたのだと思う。
私は、違った。
お客さまに、それも、目上の人に対する挨拶が完璧だったことに
驚いていたのだ。
「うふふ、みくちゃんは、同級生だもんね。余計にビックリしちゃうよね」
だから、ビックリの意味違うんだって。