Lonely Lonely Lonely
6・発覚
「あら?これ、剛だわ」
私の写メを見た瑠璃子は、開口一番にそう言った。
「誰よそれ!これは、藤川翔くん。私が今、お付き合いしている人!」
「いや、これは剛。この、左目下の泣きぼくろ、この、はにかむような笑いかた。私が間違えるはずない!」
「違うんだってば!ていうか、なんなの、その剛っていうのは」
「私が、少し前に別れた男。話したよね。たしか」
「ああっっっ」
いきなりグミの声が響いた。
一番驚いたのは、他の客達だった。
「なにごと?なにごと~?」
客達の動揺を落ち着かせるように、涼は軽やかな足どりでやって来た。
今日は土曜日。したがって、涼ママの日。
高いヒールも難なく履きこなしている辺りは、女として、完全に、負けてる………。そんなことは、どうでもいい。
「ちょっと、涼ちゃん、見てよ、これ~」
まるで我が物のように、私のケータイを差し出しながら、瑠璃子は言った。
「ミルキーの彼氏、だって。私が別れた男なのよー、笑っちゃうというか、笑えないというか」
瑠璃子は、苦しそうに……。
笑っていた。
「マジで?そりゃ悲惨だな.ミルクが。あっ、そうだ、るりちゃん、みるくはミルキーじゃないから。それ、間違えないで」
今、そこにこだわるか!?
先程、奇声を発したグミが、ププっと笑った。
「涼さん、自分がつけたアダ名、変えられたくないんだ。カワイイ~」
と、グミにしては珍しい発言。
「あら、ごめんなさい。全然、無意識だった。そのうち、ミルクレープ、とか言い出しそうね、私」
そんなに変幻自在か?私のアダ名は。
どうでもいいけど、ミルクレープは絶対イヤだ。
そのうち誰のことだかわかんなくなるぞ。
「ちょっと、みんな、クールダウンしないか?いつもより、ヒートアップしてたようだから……」
私達のテーブルに、ツリーパフェが届いた。
「ヒャー、でかっ!」
「たしかに、デカイけど3人ならちょうどいいぐらいだと思うよ。俺も手伝うしね」