Lonely Lonely Lonely
「あれれ~?どうしたの?みくさん」
「涼が、あなたのところへ行けって」
「そうですか~。それは光栄です。飲み物、何がいいですか?」
ブスくれている私に、青木くんは笑顔だ。
私の空いたグラスに伸ばした手が、美しい……。
うっとりしたあとに、考えること。
この人は、結婚してるのかな?
何人の女を抱いたのかな?
しょーもないよなあ。あたしって。
それまでの人生とか、
価値観とかより、まずそっちが気になるなんてなあ~。
そして、
「どうせるrkg……」
どうせ、瑠璃子のほうがいいんでしょ?と言いそうになって、途中でやめた。
「みくさん、のみもの。なんでも作るから、決めて」
なにも聞こえていない(ふり?)の青木くんは、変わらない笑顔で、私にオーダーを求める。
「じゃあ、甘いけど、強いヤツをお願いします。あなたに任せます」
「承知しました。少々お待ちください」
数分後、出てきたのは、
オレンジ色の、いかにも甘そう~なドリンク。
「なにこれ。スクリュードライバー?いくらなんでも、おこちゃま向けじゃない」
「それを、オトナ向けに、強く仕上げてていますので、ぜひ飲んでみてください」
バカにして~!
どいつもこいつも!と、もはややけ酒。
私は、それを一気に飲み干した。
「わっ。おいしい~!」
それは、思ったよりさっぱりしていて飲みやすく、アルコールも、かなりいい感じ~。
「でしょう?みくさんのお好みは、だいたい把握してますから」
嬉しいこと言ってくれる。
でも、きっと……。
「すごいね。そうやって、お客様の好みを、覚えてるんだ!」
「いや、いくらなんでもお客さますべてというわけではありませんよ。特に、みくさん達は特別ですから」
「ああ~。涼の友達だから?」
「いいえ」
グラスを磨きながら、青木くんは言った。
では、他にどんな理由が。
「素敵だと思うからですよ。みくさんが」
そう言いながら、彼はピカピカになったグラスを片付ける。
ちょっと、そ、そんなこと、サラリと言うなって。