Lonely Lonely Lonely
はいっ、受け取りました、バトン。
箱根駅伝でいう、タスキ?
いえ、そんな立派なものじゃない。
だってそこには血も汗も滲んでいない。
涙は、かなり入ってるかもしれないけどね……。
ここからは、私、この街のマドンナこと、沢田瑠璃子が、みるくに代わってお伝えしていきます。
マドンナ、って……自分で言ってんなよ!等のツッコミは不要。
私は、そういった発言が許される人間ですから。
雑談はここまでにして、本題に入りましょうか。
先日の、涼ちゃんの話は、こうでした。
「俺は、どうも双子じゃないかと思えてならないんだ。だから……」
「だから?」
私とグミは、身を乗り出した。
みるくには悪いけど、私は、こういうことが嫌いではない。隣の様子を見ていると、グミも、案外ノリノリの様子だった。
「まずは藤川翔が実在するかを確認する。それは簡単なこと。病院に問い合わせればいい。できれば、なんとかコンタクトをとって、みるくと面識があるかどうかを確認してほしい。
これは、診察してもらうふりして俺が行こうかと思ったけど、あいにく、日曜日しか休みがなくてね。
るりちゃん、行けるかな?」
「うん……私も、定休日とうまく合えば、行ける!ていうか、合わせるわ!」
しつこいようだが、私はこういうことが、嫌いではない。むしろ、大好きだ。
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でも、グミは……?
「グミちゃんはね。ちょっとでもいいから、藤川剛と接触してくれないかな。顔見知りになる程度でいいんだ」
「ええーっ。私に、そんなこと、できるかな~?」
やっぱり、動揺してる。でも、
「頼む!グミちゃん。そして最終的には、ここで全員集合ってのはどうだろう、と考えたわけ。アイツのためなんだ。みるくに、目を覚まさせてやりたいんだよ!」
涼ちゃんの熱心さに圧されたように、
グミは、
「はい、分かりました」
と、小さく返事をした。
その、驚いたような表情に……やっと気付いたのか、と思った。
私が、とっくに、解っていたこと。
涼ちゃんは、みるくのことが、好きなんだ。
いつからなのかは、わからないけれど、きっと、学生時代からずっと、一途に想い続けてきたのだろう。
みるくはそれに気付かなかった。未だに、気付いていないのだ。