月に降る雨
#01 忘却の君




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「…リア」




「何ー?」






「…お前さぁー、

何で いつも やられっぱなし なの?」




「…はぁ?」






「お前 強いんだからさー

やり返せば いいじゃん!」




「…………」






「いつも俺やっつける みたいにさぁ、

やっちゃいなよ 笑」




「……………」






8月の風が熱くて、

傷口に しみた。






…いや、あたし別に強くないし。


いつも あなたを やっつけても ないんだけど…。




―そう思ったけど、

その台詞は言わずに置いた。








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