月に降る雨




もしかして貴は…

あたしを置いて どこかに行こうと してるの…?




日頃の感謝を込めて言う″ありがとう″の重みと全然 違う。


人生かかっちゃってる感じが…すごく怖い。






「…貴?」




「何?」






「あたしも…

貴に出会えて よかった って、

思ってるよ。




でもさぁ…」




「……」






「″出会えた事で人生 幸せだった″って…、

あたし だったら…

人生 最後の時に言うかな 笑」




「……」






「こんな何もない時に言っちゃって…、

これからも しょっちゅう顔 合わすでしょ?


その度に恥ずかし過ぎるもん 笑」




「……」






「…って、貴……?




なん、で…、

今 言ったの……?」




貴の沈黙が怖すぎて、

最悪の答えが頭を巡る。






「まさか、

最後だから って……」




その時、

ある事に気付いて、あたしは息を飲んだ。





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