月に降る雨




―もしかして…

かず兄に、″最後の挨拶″に行こう と してたんじゃ…?―








「貴…、

どうしたの?


何が あったの?




本当に…

最後の つもり……?」




「…はぁ、分かったよ…。


りぃには全部、言う。




…ったく、普段 馬鹿な癖に、

こんな時だけ勘 鋭いんだからー」




あたしの問い掛けに、

貴は観念したように、溜め息を吐いた。


それから″ちょっと ちょーだい″と、

あたしの いちごみるく に 手を伸ばして1口 飲むと、

少し おどけたような調子で、笑う。






「…甘っ。


よく こんなん飲めるねー」




「……」






「あー、嘘 嘘。笑




そうだな……」




そう言って真面目な顔に なった貴を見て、

ごくり と、唾を飲み込んだ。






「…今日 最初に病室 行った時、

その時から″和ちゃん″が居て…

香澄が2人だけで話したい って 言ったから、一旦 出て来た」




「……」






「それでリアと話してて…

少し時間 経ったから もう1度 行ってみよう と 思って今 行ってみたんだけど、

まだ話し中だったから、言いたい事あったけど…今日は もういいや って、帰って来た。




その言いたい事が…、




″さよなら″だった」




「……!」




貴が一気に そこまで言って…、

あたしは言葉を失った。





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