月に降る雨
「…お待たせしました~」
「リアちゃん!
大丈夫??」
あたしが戻って行った時、
みちるくんは困ったような顔で…でも、優しく そう訊いてくれた。
みちるくんの雰囲気は柔らかくて、
その、心の中に どんどん踏み込んで来ない、1歩 引いた感じが、
何だか心地よかった。
「…全然 大丈夫です!
ごめんなさい、心配 掛けて…」
ぺこり と 頭を下げると、
みちるくんは相変わらず困った顔を しながらも、″ううん″って首を振って、笑った。
「あ、そう言えば…
みちるくん、何で ここに…?
薬は…まだ終わってない、ですよね?」
ふと疑問に思って、言ってみる。
みちるくんは少し答えづらそうに、目線を泳がせた。
「…あー、うん…
リアちゃんには まだ言ってなかったんだけど…、
実は妹が この病院、入院してて…
お見舞いにも来てるんだ」
「そ、そうだったんですかぁ…」
そう言えば みちるくんは…
前にも、″通ってる″というのが どういう事か訊こうと したら 話し辛そうに言い淀んで…
結局、話を逸らしてた。
そんな つもりは なかった とは言え、
立ち入った事を聞いてしまって…、どうしよう…。