月に降る雨




「えーと…


今、リアちゃんの側に居るべき人は、

別の人かもしれない けど…」




「……」






「俺はリアちゃんの側に居ない方が良いのかもしれない けど…、


でも、

今のリアちゃんを、放っとけないから…」




「……」






「…出来れば、行かないで欲しい」




「……」






「…″かず兄″の所へは行かないで?


此処に、居て。


俺に…側に居させて、欲しい」




「……っ」






……みちるくんの所に、

飛び込んでしまいたい。




あたしの脳は、刹那の感情に飲み込まれそうに なった。






―でも…駄目なんだ。


甘えちゃ、駄目。


…甘えちゃ、駄目…―






…その時。


必死に感情に逆らって、かず兄の病室へ体を向けた時…、

視界の端に人影が映って、思わず その姿を目で追った。






―!

あの子は……―





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