月に降る雨
あたし達の脇を通り過ぎてエレベーターホールに向かう その子を目で追っていたら、
自然と また みちるくんも視界に入る。
その みちるくんは あたしの視線を追って、自然と その子を見たよう だったけれど…
見た瞬間、吃驚したように固まった。
…貴と一緒に授業中に学校を抜け出した″その子″は、
あたしと みちるくん、2人分の視線が突き刺さっていた にも拘らず、その事に全く気付かない程 慌てた様子で、
到着したエレベータに滑り込むように乗り込んで見えなくなった。
その瞬間あたしは…
″あの子″を追い掛ければ貴に会えるんじゃないか って…、
根拠も無く、そう思ったんだ。