月に降る雨




「…今、こうしてる間に、

貴史が死ぬ って言ったら、どうすんだよ」




泣いている あたしに追い打ちを掛けるように、

かず兄が続ける。






「それでも俺を、助けんの?」




「………」






「……リア、簡単だよ。


ここは病院だから、

俺が同じ事を しても、助かる確率は高い。


でも、貴史が誰も居ない所で これを やったら……。


…分かるよね…?」




「………」






「俺を助けよう と してくれる事は、嬉しいよ。


でもリアは、

何だかんだ言っても、貴史を見捨てられない。


…そうでしょ?」




「………」






―……かず兄は何を言いたいのだろう……?―




その答えを出す事は、あたしの心には残酷すぎて…、

…でも あたしは…、その答えを心の どこかで、分かっていた。





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