月に降る雨




「………」




「………」






「…リア、ごめんね」




暫くして、かず兄が とても辛そうな顔で、言った。






「こんな事 言ったら、リアが どう考えるか、分かってたのに……


……ごめん」




「………」






「あの時、リアに″生きろ″って言ったのは、

俺だったよね……。


なのに

自分でリアを追い詰めるような事 言うなんて……、

俺……」




「………」






………知ってる。


かず兄は、あたしを困らせよう と 思って言った訳じゃ、ない。


かず兄は ずっと……、自分を消したい衝動と戦って来てて、

自分が そうだったから、

あたしには同じ道を行かせたくない って考えてる事も…、…知ってる。




でも ここの所かず兄は、

きっと″死にたくない″って、思ってた。


その理由は……、

多分、″大切な人″が出来たからなんだ と、思う。


…人って、守りたい人が居ると、生きられる気がするから。


それが あたしじゃない って事は、

もう ずっと前から、知ってる。








……そう、知ってた。


かず兄は…、

凛 先輩の事が……好き。


だって、

表情が…全然 違うんだもん。


あたしは ずっと…

気付かないフリを、してただけ。




でも今日、

凛 先輩が連れて来たムニーさんを見て…

ムニーさんに対する凛 先輩の視線や言動を見て…、

気付いてしまったんだ と、思う。


凛 先輩は きっと、

ムニーさんの事が好きなんだ って。


それを知って、かず兄は………。





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