月に降る雨




「…………リアちゃん…」




みちるくんが、あたしを包み込んだまま、小さく名前を呼んだ。






「…!」




「リアちゃん…?」






「………………みちる、くん…」




「……リアちゃん、大丈夫?


いや、大丈夫じゃないよね…。


でも、よかった…

間に合って……。


本当に よかった…」






「…………」




涙が…、流れた。




…みちるくんは、何も言わなかった。


ただ、あたしの体に優しく触れてる指が、震えてる気が した。






「みちるくん………、ごめんなさい…」




「…………」




みちるくんは また何も言わずに、あたしを抱き締めたまま、

背中を すごく優しく撫でてくれた。


その動きに合わせるかの ように、

涙が次から次へと、こぼれた。






―みちるくん、ごめんなさい。




一瞬、

貴かと思ってしまったの。


いつも"助けて欲しい"って思ってる時にタイミング良く助けに来てくれるから。




本当は貴に助けに来て欲しかった、なんて……。




みちるくんの腕の中に居る癖に

そんな事 考えてて…

みちるくん、本当に………






「…ごめんなさい………」





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