月に降る雨
「…みちるくん、ごめんなさい。
あの、あたし…」
「…………」
慌てて謝る あたしに、みちるくんは一瞬 驚いたみたい だったけれど、
すぐに優しい目で あたしを見つめて、ゆっくり と、頭を振った。
…みちるくんの空気は、相変わらず居心地が良い。
―どうして あたし……、
出会ってしまったんだろう……―
……貴に。
どうして……
みちるくんじゃ、なかったんだろう。
どうして、
かず兄だけじゃ駄目だったんだろう……。
かず兄の事、ずっと好きだと思ってた。
勿論 今も その″好き″って気持ちは、変わらない。
みちるくんの事も…″好き″。
……でも、違う。
どうして、
これだけ何人もの人と出会っているのに……。