月に降る雨




「本当の所は見せてくれないけど…、

でも そんな所も全部ひっくるめて ずっと好きで居たら、

少なくとも孤独では ないんじゃないか って…」




「……!」






その時、やっと分かった……。




みちるくんに あたしが最初から心を開いていた理由。




みちるくんは ずっと、あたしの本質を見抜いていた。


それは自分ですら気付いてなかった…例えるなら″月″みたいだ っていう、本質。


あたしは確かに、

誰にも本音を見せて来なかった。


意図して隠してる訳でも、嘘で塗り固めている訳でも無かったけれど…

″本質″は確かに、誰にも見られていない気が していた。




でも…

みちるくん だけには、見えていた。


見えていた上に、それを受け入れて、

そんな部分を ひっくるめた″あたし″を好きで居てくれたから…。


確かに あたしは…

みちるくんと居る時、″孤独″を感じなかった。




孤独を…感じないように、してくれてたんだ…。






『…でも…、

何も邪魔しないから、

好きでだけ、居させて欲しい』。




―あの時の、あの言葉を

そんな意味で言ってくれてた なんて……―






「みちるくん…、


……あの、あたし……」




「あ、勘違いしないで欲しいんだけど…


俺、リアちゃんに自分の事 好きになって貰おう なんて、

思ってないよ?」




その時 あたしの言葉は、

みちるくんの そんな言葉によって、遮られた。





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