月に降る雨




「前も言ったけど、

リアちゃんが好きな人、知ってるし 笑


…それを邪魔する気も、ない」




「………」






「ただ、俺が言いたいのは…、


リアちゃんが誰を好きでも、

リアちゃんを ずっと好きで居続ける って いうのが、

…俺の″存在意義″だから って、事。




だからリアちゃんは、

ただ、居てくれるだけで いいんだ…」




「………」






……あたしは また、泣きそうに なった。


何度も打ち消した、″どうして みちるくんじゃなかったんだろう″って考えが、

また頭を過る。




……どうして、

こんなに想ってくれてる人の事を、″好き″に なれなかったんだろう…?








「…そうだ 今日ね、

ほんとは あれから1回 帰ったんだけど…、


…妹が、教えてくれたんだ。


″お兄ちゃんの好きな人が、大変な事に なってる″、って」




涙を堪えて無言になる あたしに、

みちるくんが気持ちを入れ替えるかの ように、話題を変えてくれた。






「俺がリアちゃんの事 好き って いうのは、

たまたま知ったみたい なんだけど…、


リアちゃんの事は、

病院で見掛けてて、妹も好き だったんだって。


だから、普通に応援して…くれてた」




「…………」






「何でリアちゃんの所にタイミング良く現れてたか って いうのは、

偶然も あるけど…、

本当は、

妹がリアちゃんの事 見てて、教えてくれてた ってのが、殆どなんだよね 笑」




「……そう…、だったんですね……」






…それから、

上手く喋れない あたしに、

みちるくんは次から次へと話を してくれた。




妹さんが、あたしと かず兄を病院で見てた事。


みちるくんが、あたしを初めて見掛けた時の事。


…自分の、病気の事。




たくさん たくさん、話してくれた。





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