月に降る雨
「………みちるくん」
「なぁに?」
「あたし、もう大丈夫なので…、
行って、いいですよ。
……ほんとに ありがとう、
ごめんなさい」
…やっと、言った。
全ての思いを かき消して。
やっと……。
「…………」
みちるくんは黙ったまま、その大きな目で、あたしを見た。
「…何か疲れたから、ちょっと寝ますね!」
涙が出る前に笑顔で そう言って、
みちるくんに″バイバイ″と手を振る。
「…………そっか。
………………おやすみ」
みちるくんは暫く沈黙した後、静かな声で、そう言った。
そして、そのまま ゆっくり と、
部屋を出て行く音が、聞こえた。
みちるくんの足音が どんどん遠ざかって行って……、
無音になった途端、
嗚咽が漏れた。
自分で言った事なのに……。
涙が次から次へと零れて、
止まらない。
―これで……、
よかったんだよね…?―