月に降る雨
『ねぇ、リア』
『んー?
何ー?』
『……我慢しちゃ、ダメじゃん』
『え、何が?』
『とぼけても無駄ー。
全部 分かってっからね』
『え?
だから何が?』
『……泣きたいんでしょ』
『…………』
『悪いけど、俺には分かるから 笑』
「………!」
いつかの あたしと同じ台詞を言って、貴が笑う。
貴と出会ったのは…
何年前だっけ。
…そう、あたし まだ中学生で…。
だから まだ2年くらいしか、経ってないんだ。
でも、
小さい頃から ずっと一緒に居たみたいに…、
初対面の時も、貴とは初めて会った気が しなかった。
そう言えば貴も同じ事、言ってたよね。
そうだ、
だから この時も同じ台詞を言って…、
あたし達、いつも同じだった……。
…何で今こんな事 思い出すの。
―ねぇ、貴。
あたし…
みちるくんの事、追い返しちゃったよ―