月に降る雨
「…リアちゃん。
リアちゃんは…、
″死ぬ″なんて、言わないで」
あたしの心を読んだかの ようなタイミングで、みちるくんが言った。
みちるくんは きっと、
あたしが責任を感じて、立ち直れないんじゃないか と 思ったんだ と、思う。
後悔で…、
″自分が生きてる事が申し訳ない″って思考になると、思ったんだ と…思う。
でも それは…、
あながち間違いじゃ…なかった。
だって、
止められたかも、しれないのに…、
あの時かず兄の近くには あたししか居なかったのに…。
自分勝手に抜け出して、
それで自分だけ、のうのう と 生きて行くなんて……。
「………みちるくん
でも あたしは やっぱり……」
そう言い掛けた あたしの声を遮って、
みちるくんは、言った。
「リアちゃん、違うんだよ!
香澄くんは、運ばれて来たって だけで、
死んだって訳じゃ…ないんだよ」
「………」
「香澄くんは……、生きてるよ。
リアちゃんが そんなんじゃ……」
「………」
「……誰も、救われないよ」
「…………」
みちるくんの言葉が、ナイフみたいに、あたしの心に刺さった。
″誰も、救われない″。
…みちるくんは何で、分かるんだろう?
みちるくんは、
あたしを″ここ″に繋ぎ止める言葉を、全部 知っているみたい、だった。