月に降る雨




「リアちゃん、″貴″って……」




決意を固めた あたしとは対照的に、

みちるくんは どことなく、青ざめているように、見えた。






「…あ、貴って いうのは…″宗谷 貴史″って言って…、

同じ学校の1コ上の……。


だから あたし、

とりあえず学校に行きたいんです。


それで…みちるくんに協力して貰って、

病院(ここ)を抜け出したいなぁ って……」




あたしが そう言うと、

みちるくんは、呟くように あたしの言葉を繰り返した。






「……宗谷、…貴史……」




顔色が、すごく悪い。






「みちるくん……?」




心配して声を掛けたのだけれど、

みちるくんは それに答えては くれなくて、

代わりに奇妙な事を言い出した。






「そっか…、

そういう事だったんだ……」




「…?


どうしたんですか?


何が…。


…!!




もしかして………、

貴を知ってるんですか……?」






「……同じクラス、だったんだ」




あたしが次に何か言う前に、

それを遮るように、みちるくんが言った。






「入学式の日から、目立ってた 笑」




そう言って、思い出すように目を細める。





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