月に降る雨
「……」
「金髪で、ピアスいっぱい着けてて……、
…って、それは俺も人の事 言えなかったけど…(笑)、
でも彼は人とオーラが違ってて、
近寄り難い雰囲気を、持ってた。
目つきは人を睨んでるみたい だったし、
一部の女の子達は″それが格好 良い″って言ってたけど、
殆どの人は、最初は怖くて話し掛けられなかったんじゃ ないかな」
「………」
「でも彼は人を惹き付ける何かを持ってて、
1度 話し掛けると、言い方は悪いけど…みんな罠に引っ掛かるみたいに、
彼の世界に引き込まれてった」
「………」
「それにね、
彼はクラスの中でも誰も話し掛けないような子達でも、
分け隔て無く接するタイプだったんだ。
クラスのリーダー格にも人気が あるのは もちろん なんだけど…、
そういう、誰にも話し掛けられないような内気な子達にとっては、
彼は救世主みたいな存在だったんじゃ ないかな って、思う。
…リアちゃんに、似てるんだ…」
みちるくんは一旦、そこで言葉を切った。
「彼も、同じ だったんだ。
そんな風に たくさんの人に囲まれているのに謎めいている…
″月″みたいな人だった。
リアちゃんと、同じ。
実は初めてリアちゃんを見た時…、
彼を思い出した。
…″彼と同じだ″、って」
一言 一言、噛み締めるように、みちるくんが言った。
…一瞬、時が、止まった気が、した。