月に降る雨




―…






目を開けた時、

呆れ顔の母の顔が見えた。






「あれ、お母さん……?」




「もう、何が″あれ、お母さん?″よ。


あんたが どうしても外出したい って言うから、来たのに。


待ってる間に寝る って…」






「え…?」




そんな わずかな時間に寝る…?


思わず自分でも、自分に呆れる。






「…で、どうすんの?


今からでも外出する?」




「外出って……

あたし、学校に行こう と してたんだけど…」






「…は、学校!?」




「でも学校に行って、何したかったんだろう…?」






「何なの それ

あんた…頭おかしくなってるんじゃないの?」




母が ますます呆れ顔で、溜息を吐いた。






「…まぁ でも そんな緊急の用事じゃないなら、

無理に こんな時に学校 行かなくても いいんじゃない?」




「う、うん…」




何かが引っ掛かる。




学校に行こうって思ってた事は覚えてるのに、

なぜ行こうと してたか って事を覚えてない なんて…。


まるで その部分だけ、

すっぽり、記憶が なくなってしまった みたいだ。





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