月に降る雨




「……ふぅ~、終わったぁ」




誰も居ないのを良い事に、

あたしは広々とした教室で思い切り伸びを しながら、独り言を言った。


1人で やったから さすがに時間が掛かってしまった けれど、

あたしは誰も居ない教室が なぜか好き だったから、

残る事 自体は、苦痛じゃなかった。


ただ、今日は病院に行くのが遅くなっちゃうなー って、

それだけが気掛かりで、

あたしは時計を眺めながら、もう1度 呟いた。






「そろそろ、帰ろうかな…」




そう声に出すと、

鞄と、先生に提出する日誌だけを持って、教室を出た。






…えーと、川島先生って確か、第2職員室だったっけ…?


…で、確か第2職員室は、この階の端っこ だった筈…。




普段あまり職員室に行く用事は ないし、

部活に入っていないから先生と話す機会も そんなに ないし、

何より入学してから初めての日直だったから、場所に自信は なかったけれど、

とりあえず そうだと思われる場所に向かってみる。





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