月に降る雨
「……ブス」
「マジ、うぜぇ」
「何様だよ」
「死ね」
……″恐怖″からか何なのか、吐き気が する。
何度 聞いても、慣れない。
自分の存在を否定する言葉に、耳を塞ぎたくなる。
「…泣いたら、許されると思ってんの?」
「そーゆーとこ、
まじムカつくんだけど」
「つかマジ、殺してぇー笑」
……。
女の子の手の中に
カッターのような…何か凶器みたいな物が、ちらりと見えた。
「ブスのくせに、貴史くんに近付くんじゃねぇよ」
「…つかさ、有り得なくね?笑」
「………」
……″貴史くんに近付くな″って……。
こちとら寧ろ、貴には避けられてるんですけど…。
…思わず そう思ったけれど、
口に出したら ほんとに殺されそうで、言葉には ならなかった。